ビルドンブンコ

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CzTS【2】

「つまり、犯人はその漬物石を使うことでアリバイを作ったということです。ですよね、犯人さん?」いつものように探偵は人差し指を突き出した。

「いや、私じゃない。漬物石なんて誰でも持ってるはずだ」

「それはあなたの思い込みです。容疑者ちゃんのような若い子は、漬物石なんて持っていませんよ。そしてその思い込みこそ、あなたが犯人であることの揺るぎない証拠です」

「そんな……、まさか最近の子が漬物石をもっていないなんて……」しかし俯いていた犯人は顔を上げた。「いや、そこにいる目撃者だって私と同い年くらいのはずだ! あいつが犯人じゃないのか!」

「おやおや、何を言っているんですか」探偵は両手を広げて、大袈裟に首を横に振る。「彼は目撃者ですよ。相変わらず往生際が悪いですね。では、彼に直接説明してもらいましょうか」

 そう言って探偵は片手で目撃者に合図を送った。

「今朝、そいつがでっけえ荷物持って学校に入るの見たんだよ」身振り手振りも交えつつ目撃者は語った。「それで不思議に思ってよお、しばらく待ってたら、そいつが出てきて、そのときは荷物を持ってなかったんだよ」

「そういうわけですよ」

「くっ」犯人が崩れ落ちた。

「あー、羨ましい。ウチも探偵に捕まえられてえなあ」見ていた容疑者が小さく呟いた。

「僕が捕まえるのは犯人だけですよ」探偵は目線を斜めにして、容疑者にウインク。

「なっ、聞こえてたのかよ」容疑者は顔を赤くして慌てる。「じょ、冗談だよ」

「いやあ、探偵ってすげえな!」容疑者の声をかき消すように目撃者が会話に加わった。「俺びっくりしたぜ」

「いえ、今回はあなたのおかげですよ」

「いやいや、そんな謙遜しなさんなって。目撃者である俺を見つけ出した時点ですげえよ」

「ふふん、そうだろ」なぜか探偵ではなく容疑者が自慢げに鼻を鳴らした。「探偵はすごいんだ。ウチも助けてもらったからな」

「ああ、ガチですげえよ。なあ、これからお前が推理を披露するとき、俺も見てていいか?」

「僕の推理でよければいくらでも」探偵は蝶ネクタイを整えながら頷く。

「よっしゃあ! 俺が探偵の伝説を目撃する者になってやるぜ!」